海外不動産の購入規制・法律について
海外不動産の購入を検討するとき、気になるのはその国では外国人が不動産を購入できるのか、またどんな条件があるのかではないでしょうか。
今回は、外国人が不動産を購入するときに気をつけるべき法律や不動産の規制について、アジアを中心に紹介します。
各国の不動産に関する法律・規制
各国の不動産に関する法律・規制は以下の通りです
土地 | 一軒家 | コンドミニアム | ||
日本 | 〇 | 〇 | 〇 | |
マレーシア | 〇 | 〇 | ・RM100万(2700万円)以上の物件(ただし、州、物件の所有権の種類、長期滞在ビザMM2Hを保有しているかで変わる) ・購入する不動産が位置している州政府の許可が必要(MM2Hを保有している場合は申請免除) |
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タイ | x | x | 〇 | ・4,000万バーツ以上を投資資金として保有している場合、1ライまでの土地を購入可 ・一棟のコンドミニアムのユニットの総床面積あたり49%まで所有可 ・コンドミニアム購入には資金源証明が必要 ・現地人名義利の利用は法律によって禁止 |
インドネシア | x | 〇 | 〇 | ・土地の所有権はインドネシア人のみ ・購入できる物件の最低価格に規定あり(場所によって違う) 不動産所得の方法は3つ ①個人の場合、使用権(最大80年)を利用して所有 ②会社を設立して不動産を購入する ③インドネシア国籍を持つ人物の名義を借りて取得 |
フィリピン | x | 〇 | 〇 | ・土地は法人の場合、資本の60%以上がフィリピン資本の場合購入可 ・マンションなどの区分所有の場合、外国籍の者が所有する床面積の合計が、建物全体の区分所有面積の40%を超えてはならない ・住宅ローン可、購入後の賃貸、転売が可能 |
カンボジア | x | x | 〇 | ・集合住宅購入の場合2階以上のみ購入 ・集合住宅では、建物全体の70%まで所有可 ・購入後の賃貸、転売可 |
ベトナム | x | 〇 | 〇 | ・不動産は開発ライセンスを取得した物件のみ購入可 ・分譲マンション1棟につき最大30%、戸建て住宅は1街区につき最大250戸 ・50年間の所有期間(1回延長可) |
バングラティシュ | 〇 | 〇 | 〇 | ・不動産購入のためには現地法人を設立する必要あり ・外資100%でも法人を設立することができ、不動産業の規制も設けられていない。 ・土地所有も認められているが、輸出加工区(EPZ)については30年間の使用権のみ ・個人の土地所有は認められていない |
インド | △ | 〇 | ・土地の所有が認めらているが、土地の所有者が見つからず、トラブルになるケースや、政府が介入する事例などがある。また、用途変更規制により、自由に土地を使えないことがある ・【不動産】外国企業のインド法人、支店およびプロジェクト・オフィスによる不動産の購入は可能。駐在員事務所については不可。外国人の個人所有 は認められていない。 |
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ネパール | 〇 | 〇 | 〇 | ・外国人の土地所有は認められていないが、外資企業の土地所有は可能(会社設立 外資100%が認められている) |
ブルネイ | x | 〇 | 〇 | ・99年の借地権で建物を建築可能 |
ミャンマー | x | x | 〇 | ・コンドミニアム法により外国人の不動産所有は、コンドミニアム各階40%まで認められる |
中国 | x | 〇 | 〇 | ・土地の使用権のみ ・中国の土地の所有権、開発権を取得することはできず、土地使用権のみを単独で取得することもできない ・ただし、非居住者は中国国内の建物不動産(私用)を購入することにより当該不動産の占有範囲の土地使用権を取得することが可能 ・マンションなどの建物も、地域によって一定の要件を満たす必要あり |
韓国 | 〇 | 〇 | ・外国人土地法、外国人投資促進法、外国為替取引法の3つの法に従う必要あり | |
モンゴル | x | x | 〇 | ・外国人は土地の利用権(5年)のみ |
ロシア | x | 〇 | ・土地の所有は認められていないため戸建て住宅を取得する場合は土地の定期借地権を49年に ・耕作可能な農地(レンタルは可)や国境地帯、石油・ガスの産地、軍施設内のエリア、国立公園などは購入が認められてい・ない |
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アメリカ | 〇 | 〇 | 〇 | ・物件を購入する前に個人用納税者番号(ITIN)を取得する必要あり ・アメリカで銀行口座を開く必要あり |
イギリス | 〇 | 〇 | 〇 | 非居住者も不動産の取得が可能,外国企業も不動産取得に規制はない。 |
フランス | 〇 | 〇 | 〇 | |
オーストラリア | 〇 | 〇 | 〇 | ・FIRB(Foreign Investment Review Board)の許可が必要 ・土地のみを購入した場合、長期滞在者は4年以内に建設を終了しなければならない、非居住者は政府に申請を行い、24カ月以内に建設を始めなければならない ・非居住者が購入できるのは原則として新築物件のみ ・FIRBが指定した特別区(Integrated Tourism Resort)であれば、中古物件の購入や譲渡も可能 |
ニュージーランド | 〇 | 〇 | 〇 | ・「ニュージーランドの居住ビザを保有していない外国人」による中古不動産の購入が全面的に禁止 ・大規模宅地開発における新規物件購入は可能 ・ニュージーランドの納税者番号(IRDナンバー)の取得も義務付け |
土地も一軒家もコンドミニアムも購入可能な国
何の条件もなく土地も一軒家もコンドミニアムも購入できる国は、日本・アメリカ・イギリス・フランスなどです。ここに挙げてない国も含め先進国は土地も購入できる国は多くあります。
個人所有は認められないが、法人は土地を購入できる国は、バングラデシュ・インド・ネパールなどです。
マレーシアは全て購入することができますが、外国人の場合RM100万(約2700万円)以上の物件という規制がつきます(リタイアメントビザを持っている人は除く)。
オーストラリア・ニュージーランドは非居住者の外国人も新築を購入することはできますが、基本的に中古物件を購入することはできません。
また、ニュージーランド・アメリカはその国に税金を納め、納税者番号を取得する必要があったり、アメリカではアメリカの銀行の口座を持つ必要がありますが、現在非居住者が口座を開くことは基本的にできないので、日本にいながら不動産を購入するのはなかなか難しそうです。
土地は買えないが一軒家の建物・コンドミニアムを購入することはできる国
外国人は土地は買えないが、期限のある使用権や借地権という形で使うことができ、そこに一軒家を立てることができ、コンドミニアムも購入できるのは、インドネシア、フィリピン、ベトナム、ブルネイ、中国、ロシアなどです。
フィリピンの場合は、法人で資本の60%以上がフィリピン資本の場合、土地の購入も可能です。
コンドミニアムの場合、区画の何%までは外国人に売ってもよいという規制が付いている国が多いようです。
コンドミニアムの購入のみが認められている国
外国人は、土地の購入も一軒家の購入もできないが、コンドミニアムを区間所有することは認められているという国は、タイ、ミャンマー、モンゴルです。
またこれらの国もコンドミニアムの総面積に対して何%しか外国人に売ってはいけないという法律があります。
海外の不動産を購入するなら土地も購入できた方がいい?
せっかく海外に不動産を購入するなら、土地も購入できる国の方がいいのかどうかというのは、目的と予算によります。
何億も資金があって、節税目的でこのお金を使って不動産を購入したいというのならば、アメリカの古い木造一軒家なども良いかもしれません。しかし、数百万〜数千万節税したいというなら、土地のつかないコンドミニアムの方が断然節税効果があります。なぜなら、減価償却は建物にしか使えないスキームだからです。(不動産を使っての節税については、また別記事で解説しますので、しばらくお待ちください)
また、土地がこれから2倍3倍になる可能性がある国においては、土地を購入してキャピタルゲインを狙うという運用の仕方もありますが、土地の価格も落ち着いてきている国では、やはりコンドミニアムの購入をお勧めします。
特に居住用などで考えている場合は、セキュリティにかなりお金をかけないと危険、管理も大変という面があるからです。
まとめ
海外不動産を購入する上での法律や規制について解説してきましたがいかがでしたでしょうか?
日本のように土地を誰でも買えるのが当たり前という環境に慣れていると、以外に多い海外不動産の購入規制は驚かれるかもしれません。土地も買えない国の不動産なんて、と思われるかもしれません。
しかし、調べてみれば、土地の権利は買えなくても日本で不動産投資をするよりも何倍もリターンを期待できる国も多くあります。そして、不動産投資をするなら一番大事なのは出口戦略です。
土地の権利を買える買えないよりも、その国の不動産を売っている不動産業者がどのくらい信頼できるかが大事になってきます。賃貸の客付けや管理をしてくれ、ある程度家賃収入も得ていざ売却しようとした時にもきちんと面倒を見てもらえるのかを見極めて、購入を決断してください。
S DVISIONホールディングスではフィリピンの不動産を取り扱っていますが、お客様から「この物件を購入したい」とおっしゃられても、お勧めしない場合がございます。本当に価値のある物件以外はお売りしたくないからです。もし、フィリピン不動産に興味を持たれましたら、一度弊社にご相談ください。