海外不動産で節税するには?減価償却費の計上する上でのリスクなども十分に考慮しよう

投資ノウハウ, 海外不動産, 税金・法律

会社を経営していたり、個人で事業主として働いていると、確定申告をして税金を払わなければいけません。
そして、収入が多くなるにつれて払わなければいけない税金も多くなります。
正直なところ、できる限り税金は節約したいところではないでしょうか。

「海外不動産は節税に効果がある」節税を考えたことのある人なら一度は聞いたことのある話ではないでしょうか?
しかし節税するなら国内の不動産でもいいのでは?なぜ海外不動産?といまいちピンとこない人もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回はなぜ国内の不動産の方が節税効果が薄いのか、海外不動産をすることで節税になる仕組みについて、さらに気をつけるべきポイントまで詳しくご紹介していきます

不動産で節税できる仕組みについて

不動産を購入する事で国に払わなければいけない税金を節税することができます。しかし、日本の不動産を購入してもあまり節税効果は高くないようです。ここでは不動産で節税ができる仕組みについて、そしてなぜ日本の不動産では十分な節税ができないのかを解説していきます。

不動産で節税できるのは所得税

不動産を購入して節税できるのは所得に課せられる所得税です。所得税は累進課税に分類され、課税所得が大きくなるにつれて、税率も大きくなっていきます。
課税所得とは、収入から必要経費と所得控除を引いた所得のことを言います。課税所得によって、課せられる税金はこれほど変わってきます。

参照:国税庁
課税所得によっては40%も税率に差があることがわかります。
そこで、節税として課税所得を少なくする手法の一つが不動産の購入です。
不動産を購入することによって必要経費が増えるので、その分課税所得が減り、課せられる税率が少なくなります。
不動産購入において計上される経費の1つとして減価償却費と呼ばれるものがあります。
不動産投資によって計上される経費のほとんどがこの減価償却費であるため、不動産による節税でよく使われるキーワードとなります。

それでは次は、その減価償却費について詳しく見ていきましょう。

不動産の節税につながる減価償却費とは

減価償却とは、購入した物の価値が経年劣化によって目減りしていくことを言います。この目減りした分の価値が経費として計上され、減価償却費となります。

不動産の場合、土地は劣化しませんから減価償却されず、建物だけが減価償却費として定められた法定耐用年数で毎年分割されて計上されていきます。

耐用年数とは法律によって決められた、物件の価値が持続する年数のことを言います。

日本の法定耐用年数は以下になります。

減価償却費の計算方法

1年で経費として計上される減価償却費は、不動産物件の建物部分の取得費を耐用年数で割ることによって計算できることを先ほどご説明しましたが、この耐用年数、新築と中古では計算の仕方が変わってきます。

<新築の場合>
新築の場合はシンプルに建物の取得金額を法律によって決められた耐用年数で割ることで、1年で計上される減価償却費を計算できます。
よって以下のような式で表すことができます。

1年で計上される減価償却費=建物の取得金額÷耐用年数

例えば、8000万円の物件を購入し、建物部分の価格が2400万円、耐用年数が20年だった場合、1年で計上される減価償却費は120万円ということになります。

2400÷20=120
(建物の取得金額÷耐用年数=1年で計上される減価償却費)

<中古の場合>
中古の場合、少し複雑になりますが、以下のように計算されます。

1年で計上される減価償却費=建物の取得金額÷(耐用年数−築年数+築年数×0.2)

また、耐用年数と築年数を差し引いて0を下回った場合、耐用年数にそのまま0.2をかけ、その年数で取得金額を割ることで、1年の減価償却費が計算されます。

1年で計上される減価償却費=建物の取得金額÷(耐用年数×0.2)

例えば、日本で3000万円の中古物件を購入した場合、耐用年数が20年、築年数が20年なら、建物の価値は法律的には0円です。しかし、実際の建物の売買価格が400万円だった場合、1年で計上される減価償却費は100万円ということになります。

400÷(20×0.2)=100
建物の取得金額÷(耐用年数×0.2)=1年で計上される減価償却費

100万円ずつ4年間減価償却費として計上できますが、この物件を売却しようと思った時、建物価値は0円ですので、運良く土地の値段が値上がりした場合以外では、ここに売却税や、建物の取り壊し費用が来ることを考えると、節税どころかマイナスになってしまいます。

もともと不動産において建物の価値が高くなく、古くなるに連れてその価値がさらに目減りしていく日本の不動産は、この減価償却を使っての節税には向かないのです。
しかし、一定の条件を満たす海外の不動産は、大きく節税したい人に向いています。その理由を次の章から解説していきたいと思います。

特定の国の海外不動産は国内不動産より節税効果が高いと言われる理由

一定の条件を満たす海外不動産の方が国内不動産より節税効果が高くなります。ポイントは、現在の日本の法律上、海外不動産であっても日本の法律の耐用年数が適用されるという事です。
海外不動産の節税効果が高くなる条件は次の2つです。

海外不動産の節税効果が高くなる条件①:土地代と物件価格の比率が物件価格の方が高い

1つめは土地代と物件価格の比率です。

土地は経年劣化によって価値が目減りしないと考えられており、減価償却費として経費を計上することができません。
なので、土地代に対して物件価格の比率が高くなるほど節税効果が高くなります。
日本では物件価格より土地代の方が高い傾向にあり、その比率は物件価格:土地代=2:8ぐらいが相場となります。
そのため、海外の方が不動産投資の節税効果が高くなると言われています。
しかし、海外ではどこも土地代より物件価格の方が高いというわけではなく、その比率は国によって異なるので、土地代と物件価格の比率をポイントとして抑えなければいけません。

海外不動産の節税効果が高くなる条件②:中古物件の流通量が多く、建物の価値が下がりにくい

2つめは中古物件の流通量です。
先ほどもお話しした通り、新築と中古の物件では、減価償却費の計算方法が違ってきます。中古の物件の方が1年で計上できる減価償却費が大きくなるため、節税効果が高くなります。

しかし日本では、程度のいいものでも築年数が古くなれば古くなるほど、建物の価値はなくなっていきますので、前述した通り節税には向きません。
中古市場が大きく、古くなっても物件価値が下がりにくい国の方が、中古物件を取得も売却もしやすく節税効果が高いです。
また、先ほどの耐用年数表で見たとおり、中古物件の中でも木造建築は耐用年数が短くスピード償却できるというのがここで生きてきます。

例えば、築22年の木造の中古物件を購入した場合、先ほどの減価償却費の計算式に当てはめれば、4年で取得価格の全てを経費として計上することができます。
木造の中古物件はより高い節税効果を得られることがわかります。
上記の理由を踏まえて、海外不動産で節税するなら最も適した国の1つと言われると言われる、アメリカの例を見ていきましょう。

節税に向いている海外不動産例:アメリカ

アメリカは地価に対して物件価格が高い国の1つです。物件価格:土地代=2:8~4:6と、日本に比べ物件価格の比率が高いことがわかります。

物件価格の比率が高くなると、1年で計上できる減価償却費が多くなるので、より高い節税効果を得ることができます。

さらに、アメリカでは中古物件の流通量が多く、不動産物件の取引のおよそ9割が中古物件の取引だと言われています。

また、しっかりとメンテナンスをしていれば、取得価格よりも高い価格で物件を売りに出せるケースもあるので、物件の取り引きでの収益も期待できます。
例えば、毎年の収入が3000万円だったとして、不動産投資をすることによって、どれほど節税の効果があるでしょうか。
建物の価格が8000万円の木造物件を購入し、4年かけて減価償却をしていったとしましょう。
収入の3000万円から減価償却費の2000万円が費用として計上されることによって、課税所得が減り税率も下がるので、毎年およそ840万円の節税となります。
6年目に物件を売り払い、譲渡益から譲渡益税を引いて、4年間の節税額を足すと、今回の不動産投資で得たプラス分が10280万円と出ます。
最初に取得費として8000万円支払っているのでそれを引くと、最終的に不動産投資でいくら得をしたのかを計算できます。
今回のケースですと、およそ2280万円が不動産投資の節税によって得られた金額です。
土地代や控除額などは考慮していませんが、ざっくりと不動産投資による節税のイメージをご理解していただけたかと思います。

海外不動産で節税をする際の注意点

海外不動産を購入するにあたって注意しなければいけないポイントもあります。
このポイントを抑えないと、海外不動産の投資でかえって損をしてしまうというケースあります。
そうならないために、海外不動産で節税をする際の注意点を2つ抑えておきましょう。

租税条約を結んでいる国の不動産を購入すること

まず、海外の不動産に投資をする上で、物件を購入する国に気をつけなければいけません。
なぜなら、二国間租税条約を結んでいない国で不動産を購入してしまった場合、外国税額控除を適用することができないからです。
外国税額控除を適用しないと、海外での所得と日本での所得の2つに対して税金が課せられ、2重に税金を払ってしまうということになります。
海外の不動産を購入して節税をしたつもりが、かえってより多くの税金を支払ってしまうというケースにもなり得ます。

現在、日本はほとんどの国と二国間租税条約を結んでいますが、一部の国とは二国間租税条約を結んでいないので注意が必要です。
アジアでは、北朝鮮、ラオス、ミャンマーなどが二国間租税条約を結んでいません。アフリカや中東、南アメリカなどでも租税条約を結んでいない国が一部あります。
また、台湾は租税条約を結んでいませんが、それに相当する枠組みが構築されているようです。

確定申告で外国税額控除の申請を出すこと

先ほどの外国税額控除についてもう少し詳しく説明します。

日本に住む人が収入を得た場合、その収入が発生した場所が国内であれ国外であれ、日本に税金を納めることになります。
さらに、もし国外で収入を得た場合、その収入が発生した国にも税金を納めなければいけません。
海外不動産投資の場合、物件を賃貸に回した時の家賃収入や、物件を売った時の売却益などがこれにあたります。
この税金の2重課税を防ぐために外国税額控除の申請を出す必要があります。
確定申告で外国税額控除の申請を出すことで、海外で納めた税金の額を一定の限度まで、国内で払う予定の所得税から差し引くことができます。

海外不動産を節税目的で購入するときのリスク

投資にはリスクがつきものです。もちろん、海外の不動産投資においてもリスクがあるので知っておかなければいけません。

税制改正はいつ行われるかわからない

現在の海外不動産に対する税制度について、会計検査院から疑問の声が上がっています。
現状では、海外不動産についても日本の不動産と同様の耐用年数を使って減価償却費が計算されていますが、会計検査院によれば、海外不動産が日本の不動産の耐用年数と使用期間が合わないと指摘されています。
たしかに、減価償却費によって会計上は物件の価値が0になっても、実際には売却によって取得費とさほど変わらない収入が発生するので、会計検査院の疑問の声も理解できます。
実際の物件の価値は変わらず、会計上の減価償却費が所得の引き下げに大きく貢献してしまうことを会計検査院は懸念しています。
以上から、今後は海外不動産の減価償却方法について見直しが必要であると財務省の間で話し合いが行われています。

2019年の税制改正では、まだ海外不動産の減価償却に関する改正は出ていませんが、海外の中古物件について耐用年数の見直しがされるかどうか、引き続き注意していく必要があります。

海外不動産の売却時には譲渡所得税に注意!

海外不動産の投資で節税効果が得られず、かえって損をしてしまうというケースもあります。
節税効果が得られづらくなるポイントは収入と譲渡所得税の2つになります。
収入が減価償却費を大きく下回ってしまうケースではあまり多くの節税効果を期待できません。なぜなら、収入を上回った分の減価償却費が無駄になってしまうからです。

例えば、収入が500万円だったとして、年に1000万円の減価償却費があったとします。
その場合、収入は会計上0となるので、所得税率の表を見れば税率が20%から5%に下がります。しかし、もし収入が1000万円だったとすれば、税率は33%から5%に下がり、さらに多くの節税効果が期待できます。
収入の大きさによっては節税効果が得づらくなるケースがあるので、気をつけなければいけません。

また、譲渡所得税にも注意が必要です。
譲渡所得税とは、物件を売りに出した時に得た収入に対して課せられる税金です。譲渡所得税は、短期譲渡所得と長期譲渡所得によって税率が異なります。
短期譲渡所得は、物件の所有期間が5年以下だったときに得た物件売買による収入のことで、その税率は30%です。

一方で、長期譲渡所得は、物件の所有期間が5年より長かったときに得た物件売買による収入のことで、その税率は15%です。
物件の所有期間によって課せられる税金は大きく異なるので注意が必要です。譲渡所得税によって不動産投資の結果がマイナスになってしまうというケースには気をつけなければいけません。

海外不動産の購入は節税以外にも

上記の説明を読んで自分の所得を考えた時、海外不動産では十分に節税効果もないし、意味がないと思われた方もいるかもしれません。しかし、海外不動産購入のメリットは、節税以外にもたくさんあります。
例えば、フィリピンのように人口増加が続き、不動産の需要が追いついていないアジアの新興国ならば、日本のように不動産市場が成熟し、物件価格が上がりきって、空室や空き家が増え、ちょっとでも古くなるとなかなか借り手が見つからない国よりも、インカムゲイン(家賃収入)も得やすいですし、不動産価格も上がりやすくキャピタルゲイン(売却利益)も見込めやすいです。

節税をして税金を少なく払うのがいいのか、不動産収入で収入を増やす方がいいのか、自分にとってはどちらが特になるのかしっかり考えてみましょう。

まとめ

不動産投資による節税の仕組みはご理解いただけたでしょうか?
節税効果を高めるには国内の不動産に投資するよりも、海外の不動産に投資した方が良いことがご理解いただけたかと思います。
しかし、不動産投資でいつも節税効果が得られるということではなく、収入や譲渡所得税によってはかえって損をしてしまうというケースもあるので気をつけなければいけません。

また、今後の税制の改定によって節税効果が得られなくなるということも十分にあり得るので、税制改定に関する情報は注意しましょう。
自分が今、本当に海外不動産で節税をすることがいいタイミングなのかしっかり考える必要があります。

今回のこの解説はあくまでも概要です。海外不動産で節税を本気でお考えの方は、海外不動産に詳しい税理士に必ずご相談ください。