こんなにも違う!アジア各国の仮想通貨への対応と税金まとめ

2019年4月17日アジア金融

 

2017年〜2018年、仮想通貨は世界中に認知されました。
ブロックチェーンの新技術や大型企業との提携がニュースに
なる日も多く、世界中の関心を集めていました。

しかしビットコインの価格は2018年1月より暴落。
2019年1月現在も低迷しています。

国に関わらず使える通貨として、一気に広まった仮想通貨ですが、
各国によって対応は様々。
また仮想通貨のトレードで上がった利益への税金も各国によってかなり差があります。

2019年1月、マレーシアは仮想通貨を合法とすることを世界にプレスリリースしています。
今後どのような動きをしていくのかは読めませんが、現在のアジア各国の対応を見ていきましょう。

 

 

1.アジアの仮想通貨への対応

アジアの中で、ビットコインを「合法」としている国と、「非合法」としている国の代表例を挙げていきます。なお、明確に「非合法」とまではいかなくとも、相対的に強い規制が入っており、自由な仮想通貨取引や周辺のビジネスが行えない国に関しては、分類上「非合法」の項目にて解説しています。

 

1-1ビットコイン合法の国

まず、ビットコインが合法の国の代表例として、複数の国を比較します。代表例として、日本、シンガポール、フィリピンを紹介します。なお、代表例として特徴の比較がご理解いただきやすい3国を挙げていますが、アジア各国の中で仮想通貨を非合法、もしくはそれに近いレベルでの規制をかけている国の方が少なく、多くの国では合法という扱いが行われています。

まず、日本ですが、慎重な法整備が進められつつも仮想通貨を禁止、もしくは非合法とする動きは現在のところ、見られていません。

基本的に日本の仮想通貨の対応は、金融庁主導のもと行われ、国民の資産を保全や健全な市場形成を軸に、規制を強めつつも、仮想通貨そのものの浸透を受け入れようとする形で法整備が進んでいます。

取引所を認可制とした点、ビットコインなどの主要な仮想通貨と比較して、DASHなどの匿名性の高い仮想通貨に対しては慎重な姿勢を示している点、たびたび、仮想通貨取引所に対して調査を行い、行政処分を行っている点などから、このスタンスが伺い知れます。

日本の仮想通貨の対応は、慎重、かつ遅れているため、取引に不自由を感じる投資家の方もいるかもしれませんが、自由な市場が結成されている最中と考えることもできます。

一方で、金融大国シンガポールは、寛容かつ、先進的な取り組みが象徴的です。仮想通貨、ブロックチェーンといった最新の分野の金融事情にも理解を示し、友好的、協力的なスタンスを取っています。

実業や投資での成功者が節税目的でシンガポールに移住する流れは現在でも盛んですが、仮想通貨取引、もしくはブロックチェーンビジネスでの成功者がシンガポールに移住していく流れも、今後強まっていくことが予測されます。

法的な規制としてはICOや決済サービスへの規制は強化される方向に動いています。こちらも日本と同様、仮想通貨の取引を縮小していくような意図ではなく、健全な市場を形成するために資金洗浄対策や、悪質なICOの取り締まりを行うような意図であることが推測できます。

最後に例として挙げるのが、フィリピンです。フィリピンは、仮想通貨特区を設け、海外から仮想通貨関連、ブロックチェーン関連の企業を誘致しており、仮想通貨の導入、浸透に対して積極的なスタンスを見せている国であると言えます。

フィリピンは現在でこそ、アジアの中でも屈指の成長率を誇る国です。しかし、その滑り出しはかなり遅く、BPOや海外への出稼ぎで国力を成長させている、東南アジアの成長国の中でもやや特殊な立ち位置にあります。

とりわけ、「出稼ぎ労働者から本国への送金」という現象における現行の金融システムでの手数料は決して無視できるものではなく、送金コストの安い仮想通貨の浸透は国家の今後の成長にとって不可欠なものであるという側面もあります。

一方で、犯罪組織に対する強硬なスタンスは仮想通貨の世界にも共通しており、仮想通貨犯罪への厳罰化の動きは世界の中でも特徴的なものであると言えます。

 

 

1-2ビットコイン非合法の国

ビットコインが非合法(もしくは強く制限がかかっている)アジアの国家の代表例としては、インド、ベトナム、中国が挙げることができます。中国については、とりわけ影響力の大きさや、その立ち位置の特殊さもありますので、次の項目で詳細を解説します。

インドは仮想通貨に対し合法という見解を示しておらず、また、規制を強める動きが目立ちます。高額紙幣を廃止し、実質上の預金封鎖を行うなど、強硬な金融政策が目立つ国家ですが、ビットコインに対しても規制強化の方向性が強いです。仮想通貨の全面禁止や、仮想通貨取引を行う企業、個人に対する銀行のサービス停止など、かなり強い規制が議論されています。

ベトナムはアジアの中で数少ない、仮想通貨を明確に「非合法」と位置付けている国です。ベトナムは、市場経済を導入し、急成長してきた国家ですが政治体制は南北統一のころから一貫しての、共産党一党独裁。規制すると決めた際の実行力はやはり目を見張るものがあります。とはいえ、非合法とされているのはあくまで仮想通貨の「決済」に関して。取引および保有に関しては規制の対象とはなっておらず、世界の中でも取引量は比較的活発です。

アジアの中で他に完全に非合法とされている国家には、アフガニスタン、 バングラディッシュ、サウジアラビアといった国が挙げられます。

 

 

2.ブロックチェーン投資世界一?!中国の対応

2017年、仮想通貨元年より仮想通貨投資に参入し、2018年の暴落により損失を出した、もしくは含み損を抱えている方にとって、「中国」というワードは仮想通貨関連で言うと決して印象の良い単語ではないと思います。

中国が行った規制の代表的なものは以下です。

・ICOの禁止
・仮想通貨取引所運営の禁止
・取引所を介した仮想通貨取引の禁止
・マイニングの規制

仮想通貨の所持そのものを非合法とまではしてはいないものの、仮想通貨に対する規制の厳しさは世界でも類を見ないレベルです。

何かにつけて仮想通貨関連の規制を強め、そのたびに仮想通貨の全体相場は暴落。中国は仮想通貨に敵対的な国家である。そのようなイメージが強いのではないでしょうか?

この見解は、間違ってはいません。その歴史的背景から自国をまったく信用していない中国人にとって、「人民元」は自分の資産の保存手段としては決して魅力的ではありません。

日本を含め、海外の不動産などに変える大きな動きもみられましたが、仮想通貨も中国人にとっては理想的な資産の保存手段であったと言えます。

自国の通貨が、発行元を持たない仮想通貨と換金され続けることは、国家の重要な権利である通貨発行権が揺るがされることになります。この脅威に対し、中国が過剰な防衛策を取っているという見解は、少なくとも当たらずとも遠からずと言ったところではあります。

一方で、そんな中国のブロックチェーンへの投資額が世界でもトップクラスであるという事実をご存知でしたか?

たとえば、2017年にはブロックチェーン関連の特許の取得数は世界で一位です。主要都市ではブロックチェーンのプロジェクトを国をあげて支援を行っていますし、主要IT企業「BAT」(バイドゥ、アリババ、テンセント)も積極的にブロックチェーン関連の企業への投資を行っています。とりわけ、アリババの特許取得数には目を見張るものがあります。

規制の強化と、ブロックチェーン分野への積極的な出資。一見相反する対応を取る中国ですが、その意図を考察してみると、一貫性も見えてきます。

結論としては、中国は仮想通貨を敵対的に捉えています。その上で、ブロックチェーンへの投資により何を目指そうとしているかというと、「分散型台帳」を用いた、中央集権化への応用と筆者は分析しています。

ブロックチェーンが用いられた理念そのものは、中央集権からの脱却ではありますが、中国が中央集権的に国民やその資産を掌握したがっているのは、仮想通貨への施策や、インターネット周辺の施策から考察しても明らかです。

ブロックチェーンを野放しにしておくことは、中国が目指している中央集権化にとって大きなマイナスポイントとなりますが、ブロックチェーンを意図するままに扱うことができれば、逆に国民や、それどころか他国の情報まで把握することが理論上は可能となります。

そのため、中国はブロックチェーン技術に対しては、積極的に投資を行い、特許を取得する方向に動いているのではないでしょうか。そもそも「特許」という考え方そのものが、本来ブロックチェーンの「分散化」のテーマとは相反するものです。そこに力を入れていることは、そのスタンスを表す象徴的な事実ともいえるのではないでしょうか。

このように考えると、中国の「ブロックチェーン」以外の分野への規制を強化する姿勢と、ブロックチェーンに対してのみ国を挙げて支援する姿勢、一見相反するスタンスにも整合性がとれるのではないでしょうか?

中国がブロックチェーンで覇権を握り、中央集権を実現させるのか、ブロックチェーンの元来の理念の前にその目論見が敗れ去るのかは、今後の動向から目が離せない所ではあります。

 

3.仮想通貨トレードでの税金まとめ

仮想通貨の取り扱いに関して、国によって全く取り扱いが違うことをご理解いただいたと思います。単に、仮想通貨が合法な国で取引を行えばよいというものではなく、合法な国の中でも、その取引にかかってくる税率は大きく変わってきますので、改めて比較します。

まず、日本では仮想通貨の税金は2016年までの利益分に関しては法的な取り扱いがまったく決まっておらず、無課税の状態でしたが、2017年以降より、利益確定に対して課税が行われています。

とはいえ、仮想通貨の立ち位置に関してはいまだに取り扱いが明確には決まっておらず、「雑所得」として扱われます。株式やFXの利益確定であれば一律20%と決まっていますが、仮想通貨の場合は、その利益確定額に応じて最大税率が55%となります。一定の金額を超えた分については、かなりの高税率となりますので、注意しなければなりません。

こちらについては、便宜上設定されている金額でもあるため、今後の法整備が進む中で改善に期待されます。

シンガポールでは、長期保有された仮想通貨は「キャピタルゲイン」として扱われ、課税されることはありません。大量の仮想通貨を長期保有される場合には、シンガポールは相当に魅力的な選択肢であることがわかります。

短期のトレードの利益は「所得税」として扱われ、課税対象になります。この税率は最高で20%です。日本において株やFXでの利益確定と同水準ということになります。トレードとなると無課税とはならないものの、金額によっては日本では雑所得扱いでかなりの高い税率での課税となりますので、やはりいずれにしても仮想通貨取引において、シンガポールは好ましい選択であるといえます。

フィリピンの場合も、仮想通貨の利益確定は「所得税」の扱いになり、累進課税です。なお、短期、長期の取引のスパンによる差分は特にありません。最高税率は32%と、シンガポールほどの水準ではありませんが、日本で利益確定を行うのに比べれば、かなり節税することが可能です。

仮想通貨が発展することによるフィリピン自体のメリットの大きさも考慮すると、仮想通貨投資を行うにあたってはやはり魅力的な選択になってきそうです。

 

まとめ

仮想通貨は、ようやく世界に認知され始めた段階で、今後どのような形で発展していくのか、もしくは廃れていくのか誰も正確に予想することはできません。

国の覇権を揺るがしうる要素も持っているため、仮想通貨を規制、もしくは禁止する国が存在することも不思議ではありませんが、実際のところ強い規制、もしくは明白に禁止している国はそれほど多くなく、多くの国では容認、少なくとも黙認されているか、まだ対応を決めあぐねているという段階が続いているようです。

現在の仮想通貨へのスタンス、規制の状況、税率、そして、今後仮想通貨が発展していった場合にどのようにその国が変わっていくのかといったようなことも予測しながら、仮想通貨投資を行うのに最適な国を探してみるのも良いかもしれません。